獄寺がいつも持っている花火を買いにイタリアへ里帰りしている（その上、部活も今日は休部だった）為、本日は、ツナとふたりで登下校。
何で態々花火をイタリアに買いに行くんだろうなー？とか、日本の花火でよくね？とか、もしかしたら実家は花火屋か？とか、じゃあアイツのアレはもしかして自作？だとか、くだらない事をグダグダ考えながらの、帰宅途中。

学校という閉鎖された箱庭から、漸く羽を伸ばせる自宅へと帰宅出来る（普通なら絶対嬉しいものだ）というのに、妙に疲れた嫌そうな顔をしている親友を怪訝に思いつつも何故か聞こうという気にはなれず、適当に話題を出していて。
自分から話題を振りはしないが相槌を打つのは異様に上手いツナのそれが、なんだか今日は冴えずに。
ひとつひとつの話が短くなってしまい、珍しく話題が尽き掛けてきた頃。
ふと、思い出した事を口にしてみる。


「もうじきテストだなー。」
「･･････テストだねー･･･」


うげ、と可愛い顔（最近思うようになった）を盛大に顰めたツナの反応に、ああ、元気がなかったのはこのせいか、と納得した。
なるほど。勉強が苦手なのだから（かく言う俺も苦手ではあるけれど）、嫌そうにしているのも頷ける。
ツナの家に居る、ガチガチの黒スーツで全身を固めている（坊主、と俺は呼んでいる）赤ん坊の性格やら色々な事を思い出して、苦笑した。
家庭教師だと公言して憚らない（ツナも認めている）彼の教育法は、確かに面倒臭がりで怠惰なツナには合わないのかもしれない（必要に強要されないとやらない彼の性格には合っているのかも知れないが）。
う～ん･･･坊主、スパルタだしなーと呟いた俺に気が付いて、世の中に絶望したリストラされたサラリーマンのような（サラリーマンはこんなにも可愛くないけれど！）哀愁を漂わせたツナは、おもむろにこう切り替えしてきた。